鏡下囁語
頭頸部がん専門医の育成に思うこと
鎌田 信悦
1
1国際医療福祉大学三田病院頭頸部腫瘍センター
pp.215-217
発行日 2009年3月20日
Published Date 2009/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101393
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Ⅰ.頭頸部がん専門医制度発足の背景
最近マスコミで取り上げられる医療問題の1つに『医師不足』と『がん医療水準の均てん化』がある。耳鼻咽喉科医は足りているのかどうかわからないが,外科系志望者の減少と同様,頭頸部外科志望者は減ってきているように感じられる。また,頭頸部がんにおけるがん医療水準の均てん化を頭頸部癌学会会員の国内分布からみると,地方と中央の格差を埋めることはきわめて難しい現状といわざるを得ない。がん対策基本法の施行により厚生労働省は,がん専門医の養成に前向きな姿勢をみせているものの,『がんプロフェッショナル養成プラン』の予算と内容をみても,あるいは『がん治療認定医』の資格がわずか2日間のセミナー出席で与えられるという低レベルであることをみても,国民に対するアリバイ作りとしかいいようがない。
そのような時代背景のもとに,日本耳鼻咽喉科学会は頭頸部がん専門医制度を発足させることに決定した。厚生労働省の見せかけだけの姿勢ではなく,『頭頸部がん専門医』の資格が高い診療レベルを担保するものであり,医師自らもその称号に誇りをもてるような頭頸部がん専門医制度であることが望まれる。
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