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特集 耳鼻咽喉科とチーム医療の実践(2)糖尿病合併者のステロイド療法
2.糖尿病合併者のステロイド療法
2.Steroid therapy for the patients in association with diabetes
肥塚 泉
1
Izumi Koizuka
1
1聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学
pp.27-32
発行日 2009年1月20日
Published Date 2009/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101368
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Ⅰ.はじめに
日本人全体の97%がなんらかの病気を原因として死亡し,その97%のうちの約70%がいわゆる『日本人の三大死因』と呼ばれる癌,心臓病,脳卒中で占められている。糖尿病は,高血圧,肥満,高脂血症とともに『メタボリックシンドローム』と呼ばれ,これら『三大死因』のリスクファクターであることが知られている。なかでも糖尿病,高血圧,高脂血症の3つは,自覚症状が出にくいためサイレントキラー(沈黙の殺人者)とも呼ばれ,放置されることが多く,耳鼻咽喉科に受診あるいは入院した際に初めて,これらに罹患していることが明らかになることも多い。耳鼻咽喉科医が診断ならびに治療対象としている領域には,数多くの感覚受容器が存在する。これら感覚受容器が急激に障害を受けると患者のQOLに多大な障害をきたす可能性がある。突発性難聴や前庭神経炎などがその代表である。また喉頭や喉頭蓋の急性炎症は,上気道の急激な狭窄や閉塞をきたすことがあり,患者を死に至らしめることもある。
これらに対しては,比較的高用量のステロイド(グルココルチコイド)が治療に用いられる。ステロイドが有す強力な抗炎症作用,免疫抑制作用による著明な改善効果が期待できるからである。反面,ステロイドは糖代謝への影響をはじめ,さまざまな副作用を有していることが知られている。本稿では,治療に際して比較的高用量のステロイドが使用されることが多い,突発性難聴や顔面神経麻痺を例に,糖尿病が合併した場合の具体的な対応法について述べる。
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