Japanese
English
特集 耳鼻咽喉科専門研修をはじめる医師へ―外来処置,手術のコツ,注意点
4.鼻処置:中鼻道自然口開大処置,ネブライザー,上顎洞穿刺術
4.Nasal treatment:widening the natural ostium of paranasal sinus, nebulizer, needle puncture of the maxillary sinus
井門 謙太郎
1
,
平川 勝洋
1
Kentarou Imon
1
1広島大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.1013-1019
発行日 2007年12月20日
Published Date 2007/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101181
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Ⅰ.はじめに
耳鼻咽喉科領域のうち,鼻副鼻腔の感染症は骨に囲まれた粘膜病変である。これらの部位は直視下に操作や薬剤投与が可能であり,薬物治療と局所の処置を適切に併用することで,より治療効果を高めうる領域の1つである。わが国では昭和30年代から鼻処置,鼻洗浄,ネブライザーという一連の処置治療が,鼻副鼻腔炎の保存的治療として広く行われてきた。鼻処置は鼻吸引,鼻洗浄などを含んだ処置であり,総鼻道を中心とした鼻粘膜の処置と鼻汁,鼻漏の吸引を行うこととされている。これに対して副鼻腔自然口開大処置は,鼻処置に加え鼻腔側壁に存在する狭小な副鼻腔自然口部と周囲の粘膜腫脹を処置し,副鼻腔内に存在する貯留液の吸引を行うことであり,2000年4月より新たに保険請求が可能となった処置である。これらの鼻腔への局所処置は耳鼻咽喉科医としてまず初めに習熟すべき基本的手技の1つである。
また,上顎洞穿刺・洗浄術は,抗菌薬などの薬物療法や画像診断の進歩に伴い,今日における副鼻腔炎保存的治療全体に占める役割は減少した。しかし,膿汁が貯留するタイプの上顎洞炎,すなわち急性や歯性のものには現在でも有効な治療である。
本稿では,耳鼻咽喉科専門研修を始める医師に対して中鼻道自然口開大処置,ネブライザー,上顎洞穿刺術について,施行時のコツと注意点についてわれわれが実際に行っている方法を呈示しながら解説する。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.