特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の機能検査―何がどこまでわかるか―
V.めまい検査
3.重心動揺検査
山本 昌彦
1
1東邦大学医学部附属佐倉病院耳鼻咽喉科
pp.111-121
発行日 2003年4月30日
Published Date 2003/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100984
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I.はじめに
重心動揺は,ヒトの体平衡維持状態そのものがもたらす体の揺れを足圧中心によって捉える揺らぎを意味する。この動揺は体の動揺であり,姿勢制御そのものの動きが入り込んでおり,正常な姿勢制御から姿勢制御の異常をも含んでいる。それらをわかりやすく表現させる方法が 重心の動揺解析である。重心動揺解析法には様々な手法があり,重心動揺で何を知りたいのかによってその解析法が異なる。解析によって得られたものはそれぞれ姿勢状態を示す指標(parameter)である。これらの解析指標がもっている意味が何を表しているのかによって体動揺がどのような状態であるのかを知ることができると考えられるが,必ずしも容易に状態把握ができるわけではない。その理由は,姿勢の制御が純粋に反射系によるものだけであればよいのであるが,反射系の中に自発的な体の制御を自由に与えられるために複雑な揺れが入っているとともに,呼吸や心拍など姿勢制御以外の体動も同時に混入しているといわれている。つまり,多くのノイズ的な揺れが入っている動揺記録の中で解析が進められている。また,解析手法そのものが的確な意味づけをもった指標として開発され得ていない未熟性をもっている。そのような重心動揺解析ではあるが,現在まで多くの重心動揺検査の評価法が示されており,多くの指標はそれぞれに特徴をもっている。指標の特徴と動揺図の重要性を示し,重心動揺検査で何がわかるのかを示したい。
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