特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の機能検査―何がどこまでわかるか―
V.めまい検査
2.体平衡検査
伊藤 八次
1
1岐阜大学医学部高次情報統御学講座 平衡・耳鼻咽喉科学分野
pp.103-109
発行日 2003年4月30日
Published Date 2003/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100983
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I.はじめに
体平衡は,前庭入力,視覚入力,深部受容器入力が中枢で統合処理され全身の骨格筋に出力されることにより維持されている。これらの入力から出力までのいずれの部位の障害でも体平衡維持に異常が現れる。したがって,体平衡検査は身体の平衡状態を総合的に観察し評価する最も基本的な平衡機能検査である。
体平衡検査の目的は,平衡障害の程度の把握と診断の補助である。前者は病期の分類,経過観察,治療効果判定に役立つ。後者は特徴的な直立異常や歩行姿勢を観察し得た時に障害部位診断の一助となる。検査は簡便なものが多く,めまい・平衡障害例のほぼ全例が対象となる。
体平衡検査には直立検査,斜面台検査,重心動揺検査,指示検査,書字検査,足踏み検査,歩行検査などがある。ここでは直立検査,書字検査,足踏み検査,歩行検査を取り上げ解説する。検査方法と評価は日本めまい平衡医学会(旧日本平衡神経科学会)の基準1)に準ずる。
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