特集 上気道アレルギーを診る
11.化学物質過敏症
化学物質過敏症の臨床像
荒木 倫利
1
1大阪医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.161-166
発行日 2004年4月30日
Published Date 2004/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100591
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I.はじめに
最近,特に室内での化学物質曝露に対して体調の不良を訴える人々の報告が増え社会問題となっており,原因の解明が求められている。
環境中の微量な化学物質の曝露により様々な健康障害を生じる可能性は以前から指摘されており,米国では本態性多種化学物質過敏状態(multiple chemical sensitivity:以下,MCSと略)として検討されてきた。日本では「化学物質過敏症」の名称で広く知られつつあるが,病態について不明であり,十分に科学的に把握されているわけではない。MCS,化学物質過敏症は,原因として種々の化学物質が想定され,多臓器にわたる他覚的所見の乏しい自覚症状を呈する状態であり,概念,病態,診断,治療について多くの議論がなされているが,いまだ一定の見解は得られていない。
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