総説
臨床化学検査の標準物質
松村 義寛
1
1東京女子医大・生化学
pp.597-600
発行日 1975年6月15日
Published Date 1975/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917692
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臨床検査室の設備は近年著しく改善,充実して,自動化された部門も多くなり,バラツキによる誤差は極めて小さくなり,データの信頼性は向上した.一施設においての検査値は,その施設内で利用する限り有用であったが,異なる施設の検査値と比較することになるといろいろと問題が生じている.同じ患者がA病院では高値といわれ,B検査所では正常範囲,C医院では低値であるというような場合も起こりうるし,実際にもよく耳にするものである.
大小,長短,軽重などの判断はいつでも暗黙のうちにある基準が設定されている.絶対的に大きいとか小さいとかそいうことはない.自分一人で大きいと思っていても,他人に伝える時には基準を提示しなければ了解してはもらえない,いちいち基準を提示する手間を省くために,ものの性質を数量化することが行われる.物理量として長さ,重さ,時間が最も基本的な数量として取り扱われるようになり,基準の長さとしては,尺,フィートが生まれ,重さの貫,ポンド,時間の時,日などがあった.もとよりこれらはそれぞれの社会に好都合なように定められたが,国家,民族などの壁をこえて,統一するためにメートル法が採用されてきたことは周知である.
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