特集 上気道アレルギーを診る
10.好酸球性中耳炎
好酸球性中耳炎の病態と治療
飯野 ゆき子
1
1帝京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.155-160
発行日 2004年4月30日
Published Date 2004/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100590
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I.はじめに
近年,気管支喘息に合併した難治性の滲出性中耳炎,あるいは慢性中耳炎が注目を集めている。これらの症例では,感染がない場合極めて粘稠な中耳貯留液を有し,これまでの滲出性中耳炎や慢性中耳炎の治療に抵抗を示す。この中耳貯留液や中耳粘膜には多数の好酸球の浸潤をみることから,Tomiokaら1)はこの中耳炎を好酸球性中耳炎として報告した。この中耳炎の存在が明らかになるにつれ報告も相次ぎ,2003年には東北大学耳鼻咽喉科小林俊光教授が班長となり,好酸球性中耳炎の研究班が組織され,日本全国の基幹病院における好酸球性中耳炎の疫学調査が施行された。その結果,好酸球性中耳炎はそれほど稀な疾患ではないことが判明している。
本稿では好酸球性中耳炎の自験例やこれまでの報告に加え,われわれの研究結果をもとにその病態,さらに治療に関して述べてみたい。
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