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特集 好酸球細胞外トラップと疾患―― “エフェクター細胞” の新しい視点
好酸球性中耳炎
-――これまでとこれから
Eosinophilic otitis media
佐藤 輝幸
1
,
太田 伸男
1
Teruyuki SATO
1
,
Nobuo OHTA
1
1東北医科薬科大学医学部耳鼻咽喉科学
キーワード:
好酸球性中耳炎
,
難聴
,
2型炎症
,
好酸球細胞外トラップ(EETs)
Keyword:
好酸球性中耳炎
,
難聴
,
2型炎症
,
好酸球細胞外トラップ(EETs)
pp.183-186
発行日 2024年10月19日
Published Date 2024/10/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291030183
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好酸球性中耳炎は,2011年に診断基準が提唱された日本発の疾患である.本疾患は,中耳粘膜での顕著な好酸球浸潤と膠状の耳漏を特徴とする難治性の慢性中耳炎で,気管支喘息や好酸球性副鼻腔炎を合併することが多い2型炎症疾患である.適切な治療をしないと進行して聾に至ることがあり,早期診断と治療が重要である.診断基準の大項目は中耳貯留液や中耳粘膜からの好酸球の証明であり,小項目は気管支喘息や鼻茸の合併,治療抵抗性,膠状の中耳貯留液である.本症例の中耳貯留液には好酸球性炎症の指標であるECPやIL-5,RANTESなどの好酸球遊走・活性化因子が多量に含まれる.中耳貯留液で豊富に検出された好酸球細胞外トラップ(EETs)は,網状のDNA線維やヒストンを放出し,病原体を不動化する凝集体を形成して過剰産生されたムチンとともに特徴的な膠状耳漏形成の原因となる.好酸球性中耳炎患者の中耳貯留液にEETsが認められたことにより,本疾患の特徴である膠状貯留液の原因が解明され,治療法が見出されてきた.
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