特集 顔面神経麻痺
1.顔面神経の解剖
脇坂 浩之
1
,
暁 清文
1
1愛媛大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.9-13
発行日 2005年1月20日
Published Date 2005/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100056
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Ⅰ.はじめに
顔面神経は種々の機能を有する神経線維から成る混合神経であり,①顔面表情筋やアブミ骨筋を支配する運動神経線維(特殊内臓性遠心性線維),②味覚や知覚を支配する知覚神経線維(特殊内臓性求心性線維),③顔面の深部知覚を支配する知覚神経線維(一般内臓性求心性線維),④外耳道の知覚を支配する知覚神経線維(一般体性求心性線維),⑤涙液と唾液分泌を支配する副交感神経線維,⑥主として血管に分布する交感神経線維が含まれる1)。このうち②③⑤は総括して中間神経と呼称される。顔面神経と中間神経は側頭骨内で一体となり外面的には区別できないが,小脳橋角部から内耳道孔付近では中間神経は顔面神経と独立して走行しており,それぞれ神経径が異なることから両者は明瞭に区別できる(図1)。一般に顔面神経の走行は核上部,核部,核下部に大別され,核下部はさらに小脳橋角部,側頭骨内(内耳道部,迷路部,鼓室部,乳突部),側頭骨外部に区分される。
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