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連載 眼科手術のテクニック・146
点眼麻酔下耳側角膜小切開の合併症の処理—(2)眼内レンズ硝子体中落下
Technic for the complication of small temporal corneal incision under topical anesthesia:(2) IOL dislocationinto vitreous
市川 一夫
1
Kazuo Ichikawa
1
1社会保険中京病院眼科
pp.672-673
発行日 2002年5月15日
Published Date 2002/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410909062
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角膜切開はその創口の強度を保つために3.2mm以下であることが必要と報告されおり,fold—able IOLは必要不可欠なレンズである。しかしそれゆえ切開創口の拡大の選択がしにくく,合併症の対処に工夫の要ることが多い。今回はその1例を紹介し,その処理方法を示す。
症例は核硬度Ⅳで,皮質吸引が問題なく手術は終了したが,インジェクターで眼内レンズ挿入時にレンズが少し通常より早く出てハプティクスにより後嚢が裂け,眼内レンズが硝子体中に落下したものである(図1,2)。切開創口からレンチ氏レンズフック(カティーナK3-5526)にてハプティクスをつかみ出し(図3),レンズ鑷子に持ち替え,サイドポートから核スパーテルをレンズ下に入れ,レンズを嚢内に浮かしながら創口にあるハプティクスをレンズ鑷子にて回転させつつ,嚢外に固定する(図4)。その後,対側のハプティクスをレンズフックで嚢外に上昇させ,回転させながら固定する(図5〜7)。21Gバイマニュアル還流ハンドピースの用意のない施設であったので,サイドポートから粘弾性物質とオビソートを入れるとともに,その注入針で切開創口との間にある硝子体を瞳孔領上の顕微鏡下にある硝子体の観察しやすい位置に移動させ,切開創口から前眼部硝子体カッターを挿入し,ドライビトレクトミーにて前房および後房嚢内の硝子体を切除した(図8,9)。手術終了時の写真は図10に示した。
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