病院吏のひとこま
一人前になりはじめたころのハウスキーパー
長谷川 一子
1
1国立療養所中野病院
pp.69
発行日 1973年2月1日
Published Date 1973/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204912
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GHQの指導のうらで
最近,病院のハウスキーピング,すなわち環境整備についての関心が高まりつつあり,非常に重要な仕事のひとつであるということが人々にわかりはじめてきたように思われ,喜んでいる.しかし二十数年前,最初に日本の病院にハウスキーパー制度がしかれたころのことを思い出すと感無量の気持ちである.当時はかくあらねばならないというような明白な指導指針もなく,毎日のようにGHQより来られる指導官の指導により無我夢中で歩んできた.しかしそれだけでは足りなく,お互いに集まってはグチをこぼしたり,経験を語り合ったりしていたが,この集まりがだんだんと大きくなり,全国組織のハウスキーパー会の発端となり現在に至っている.
全国組織といっても会員はまことに少なく,日本には医療機関が8000を越えるというのに,いまだ会員数は150名に満たない現状である.しかしこの小さな会が講習会を開催したり,病院協会に協力をいただいて書物の出版,勉強会の開催などをしながら各自の啓発,会員の増加運動などを続けている.近い将来,もっともっと発展してゆくものと確信している.というのは各病院のハウスキーパーもすでに転換期を迎え,最近退職していかれる方が多くなった反面,新人の有望なハウスキーパーがあちらこちらに生まれつつある状態なので,希望を持って次の時代を期待しているのである.
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