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特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(4)1989年10月 名古屋
学術展示
眼症状で発見された悪性腫瘍の4例
Ocular manifestations led to detection of malignancy in four cases
池田 晃三
1
,
佐野 雅洋
1
,
湯口 幹典
1
,
白井 正一郎
1
,
馬嶋 昭生
1
Kozo Ikeda
1
,
Masahiro Sano
1
,
Mikinori Yuguchi
1
,
Shoichiro Shirai
1
,
Akio Majima
1
1名古屋市立大学医学部眼科学教室
pp.902-903
発行日 1990年6月15日
Published Date 1990/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908199
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- Abstract 文献概要
緒言 近年,統計学的報告1)によると,悪性腫瘍の診断や治療の進歩に伴い,ぶどう膜転移性腫瘍の症例が増加している。しかし,眼症状で発見された悪性腫瘍の症例が外来受診者に占める割合は非常に低い。今回我々は,眼症状を主訴として受診し,全身精査の結果発見された肺癌2例,乳癌2例を経験したので報告する。
症例(表)症例1の主訴は左眼光視症で,初診時矯正視力は両眼とも0.9であった。左眼眼底の鼻側後極部に漿液性網膜剥離を伴った灰白色で境界不鮮明な4乳頭径×5乳頭径の脈絡膜腫瘤がみられた(図1)。螢光眼底造影では,腫瘤は全体に過螢光を示し,周辺部に斑点状の螢光染がみられた。超音波およびCTで,網膜剥離を伴う脈絡膜腫瘤像を認めた。転移性腫瘍を疑い問診したところ,5年前から右乳房に腫瘤を自覚していたが放置していたことが判明した。血漿CEA(carcinoembryonic antigen)は,11.0 ng/ml (EIA)と上昇していた。精査の結果,乳癌と診断されたが,他に転移巣はみられなかった。初診後,網膜剥離が急激に進行し視力は著しく低下した。右乳房切除術・左眼球摘出術を施行したが,2年後死亡した。病理組織学的診断は,髄様腺管癌であった。症例2の主訴は左眼霧視で,6年前乳癌のため右乳房切除術を受けている。
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