Japanese
English
特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(1)1989年10月 名古屋
学術展示
Band keratopathy 15例の背景因子
Pathogenetic factors in fifteen cases of band keratopathy
西尾 昌代
1
,
秦野 寛
1
,
稲山 貴子
1
,
三井 啓司
1
Masayo Nishio
1
,
Hiroshi Hatano
1
,
Takako Inayama
1
,
Keiji Mitsui
1
1横浜市立大学医学部眼科
pp.300-301
発行日 1990年3月15日
Published Date 1990/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908086
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
緒言 Band keratopathyは,角膜表層部に瞼裂に一致して見られる帯状灰白色の混濁を特徴とし,組織学的には,ボーマン膜から上皮の基底膜および実質の表層にかけてカルシウム沈着を認める変性疾患である。混濁は角膜辺縁よりはじまり,数か月から数年かけて帯状となる。カルシウム沈着を助長する因子として,O'Connorは,瞼裂部における涙液の蒸発,角膜表面からのガスの拡散によるCO2分圧の低下とpHの上昇,角膜実質深層では嫌気性解糖が主で乳酸蓄積がおこるため表層がアルカリ性に傾きカルシウム沈着しやすくなるなどをあげている。この疾患の発生に関しては,従来,高カルシウム血症によるもの,サルコイドーシスや若年性関節リウマチ,虹彩毛様体炎,痛風,涙液分泌低下などの慢性炎症に続発するもの,角膜実質炎に合併するもの,外傷後,シリコンオイル注入眼にみられるもの,および原因不明のいわゆる特発性といわれるものなどが知られている。今回我々は,シリコンオイル注入によるもの以外で,角膜外来を受診したBand keratopathyの15症例に対し,その背景因子について検討した。
対象 対象は,1981年4月より1989年9月までに,横浜市立大学医学部病院眼科の角膜外来を受診したband keratopathyの患者15例である。男性5例,女性10例で,年齢は15歳から84歳,平均61歳であり,6例が片眼性で9例が両眼性であった。
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.