文庫の窓から
延壽撮要(1巻,曲直瀬玄朔著)
中泉 行信
1
,
中泉 行史
1
,
斎藤 仁男
1
1研医会
pp.1998-1999
発行日 1994年12月15日
Published Date 1994/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908023
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『上古の人は無為無事にして自然に養生の道に合す。中古にいたりて人の智慧盛にして善悪をわかち,名利を専とし衣服をかさり,酒色をこのみ,形神を労す,故に天年をつくさずしてはやくほろぶ。云々…,養生の道ひろく言へば千言万句,約していへば惟これ三事のみ,養神氣,遠色慾,節飲食也,此事易簡なれども,人これをきかず,もし聞く人あれども,其身に行うことなし云々…,是よりさき養生の書あまた異朝よりきたるといへども,俚俗の者たやすくわきまへがたし,故に古今の書を互見し萃を抜,要を撮て倭俗の辞にて是をのぶ。庶幾田父里嫗にいたるまで,あまねく此道を聞て,常におこないつつしみ,身心安楽にして寿域にいたらむことを』
これは「延寿撮要」の“養生之総論”に所載された記述の一部であるが,本書が成立した16世紀の後半,当時,養生の道がどのようにとらえられていたか,本書を通して考えてみたいと思う。
本書は曲直瀬玄朔(1549〜1631)著に係る,慶長4年(1599)玄朔自身の蹟が入った古活字版で,その刊記に,慶長巳亥立夏之節,法印玄朔,意齋道啓刊行,とあるが,元和年間の古活字版と認められる(川瀬一馬氏)ものである。全1巻1冊44葉(25.8×17.0,m),丹表紙,毎半葉9行,毎行字数不定,平仮名交り和文。
本書の内容はその総目録によると以下の通りである。
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