やさしい目で きびしい目で・33
眼科医ができること
西田 朋美
1
1横浜市立大学眼科
pp.1465
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907947
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今号から3回連続でこのコーナーにおじゃまさせていただくことになった。医者になって早いもので10年が過ぎた。といってもその間,同期と比べるとかなり毛色の変わった道のりをたどってきたので,いまだに私自身は若葉マークをつけているような心境で毎日過ごしている。
そもそも私は,眼科がやりたくて医者になったようなものなので,専門科を決めるのにあまり迷いもなく医学部卒業と同時に眼科の大学院に入った。なかでも,ベーチェット病に関わる仕事がやりたかった。ここまでターゲットを早くから絞ることができたのは,父の病気がきっかけだった。私の父は,30歳でベーチェット病のために完全失明してしまった。その後に私が生まれているので,私は父の失明に至るまでの真の苦悩の期間を知らないが,「失明」や「視覚障害」という言葉には敏感になってしまう。まして,いまだに原因不明とされるベーチェット病は,私にとっては一番身近に存在する敵のようなものかもしれない。
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