特集 緑内障診療ガイド—今日の戦略
Ⅱ.治療の実際
3.手術治療の実際
—私の推薦する術式—瘢痕結膜を有する緑内障に対する羊膜パッチ併用線維柱帯切除術
森 和彦
1
1京都府立医科大学眼科学教室
pp.210-212
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907912
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難治かつ術後管理困難な理由
一般に難治緑内障とは,薬物のみならず手術でも持続的な眼圧下降が極めて困難な症例群を指し,血管新生緑内障,角結膜疾患関連緑内障,ある種の先天緑内障,多重手術不成功例などがそれに含まれる。当科においては数多くの難治性瘢痕性角結膜疾患が紹介されることから,これらに続発する緑内障症例を多数経験している。一般に瘢痕性角結膜疾患に続発する緑内障には難治かつ術後管理の難しい症例が多く,その理由としては,①不整な角膜表面のため正確な眼圧測定が困難,②眼表面の状態によっては使用できる点眼薬に制限がある,③濾過手術を行うにも健常な結膜が存在しない,④免疫抑制薬併用に伴う易感染性,⑤慢性炎症に伴う線維芽細胞の異常増殖,などが挙げられる。
近年,緑内障手術に対する羊膜の応用が報告されつつあるが1,2),われわれは瘢痕結膜を有する緑内障に対し,羊膜による濾過胞パッチを併用した線維柱帯切除術を施行し,良好な成績を得たのでこれを報告する。
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