特集 EBM確立に向けての治療ガイド
角膜疾患
角膜移植におけるEBM
山田 昌和
1
1慶應義塾大学医学部眼科学教室
pp.62-71
発行日 2001年9月28日
Published Date 2001/9/28
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907499
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
Evidence-based Medicine (EBM)は,「個々の患者を治療するうえで最良の科学的根拠を求めるための臨床疫学的方法論」と定義される1)。従来,分離しがちであった臨床医学と臨床疫学を結びつけ,臨床疫学を「個々の」患者の診断や治療,予後の判定に活用していくための方法論である。この意味でEBMは,あくまでもpatient-orientedなものであり,医療費抑制のための画一的な診療ガイドラインや米国のメディケアが目指すものとは対極に位置する。
ここでは角膜移植に関係したさまざまな臨床的場面で,診断,検査,治療,予後などの判定にEBMをどのように適用できるのか考えてみることにする。一般に,EBMで臨床判断を裏付ける根拠を得るためのステップは,
(1)臨床問題(臨床例)
(2)臨床上の質問の抽出
(3)最も可能性の高い供給源の選択 (4)検索戦略
(5)得られた根拠の批判的吟味と要約 (6)根拠の適用から成る(表1)1)。このうち(3)の根拠の供給源としては,当該施設のデータベース,教科書,文献データベースなどが考えられる。ここでは自前のデータベースとして慶應義塾大学医学部眼科学教室での成績(論文になっているもの)を,教科書としてKrachmerらのCornea2)を,文献データベースとしてMed—lineを用いるものとした。
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.