特集 EBM確立に向けての治療ガイド
小児眼科
はじめに—小児眼科におけるEBM
根本 裕次
1
1帝京大学医学部眼科学教室
pp.8-9
発行日 2001年9月28日
Published Date 2001/9/28
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907492
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知らぬは医者ばかりなり!?
小児眼科には他の眼科分野にみられない医療上の特徴がある。それは,異常の発見,治療方針の決定,そして治療効果の評価をするのは,患児本人ではなく周囲の人間,特に親の役割が非常に大きい,という点である。大学病院や専門病院の外来には患児に付き添って親が来院するが,近年「この治療法では,成功率はどの位で,どこまで治るのか?」「前医が勧める治療法よりも優れたものはないか?」「治療方針に納得できない」というセカンド・オピニオン説明の希望が目立つようになってきた。
この変化には,少子化,情報の発達など,現代の社会的状況が反映していると思われる。患児の親の世代(30〜40代)は,子供の数が少なく,育児に手を掛ける習慣が普遍化しており,治療による改善要求水準も高い。そして,その判断材料として,視力や手術成功率など,数字で表すことのできる客観的そうなデータを重視する。さらに,この世代はインターネットなどを駆使した情報収集が上手である。現在,インターネット上では,疾患についての解説から,どの医師が何の治療をしているかなどの膨大な情報が公開されており,しかも時間とともに増加の一途をたどっている。
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