特集 EBM確立に向けての治療ガイド
ぶどう膜疾患
はじめに—ぶどう膜疾患のEBM
内尾 英一
1
1横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター眼科
pp.152-153
発行日 2001年9月28日
Published Date 2001/9/28
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907509
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ぶどう膜疾患治療におけるエビデンスの実際
ぶどう膜疾患の大部分はいわゆるぶどう膜炎であり,本邦ではベーチェット病,原田病およびサルコイドーシスの3大内因性ぶどう膜炎をはじめとして,多数の疾患が知られている。ぶどう膜炎は眼内炎などの感染性のものを除くと原因不明であるものがほとんどで,治療の主体は薬物治療による内科的治療である。シクロスポリンやタクロリムスをはじめとする免疫抑制薬の開発によって治療成績には進歩がみられ,数多くの臨床研究や基礎研究も報告されている。本章ではぶどう膜疾患の治療をステロイド薬,免疫抑制薬および手術治療の観点からEBMの応用の現状とその問題点について,それぞれの専門のエキスパートに論じていただいた。
一般にはエビデンスとしては通常文献を用いるが,その研究の証明力は,他の章でも述べられているように,ランダム化比較試験>コホート研究>症例対照研究>症例報告の順に強く,特に治療の有効性の評価としては実際にはランダム化比較試験でなければならないとされている。しかし,ぶどう膜炎の治療の報告としてはランダム化比較試験によるものは疾患の重症度が高いことや,症例数が確保しにくいことなどから極めて少ない1)。文献で治療成績が報告されているものの多くはコホート研究である2〜4)。
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