やさしい目で きびしい目で・17
『もっと雑談しましょう』
能勢 晴美
1
1筑波大学臨床医学系眼科
pp.987
発行日 2001年5月15日
Published Date 2001/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907352
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私が母校の眼科医局に入局したのは30数年前で,ちょうど白内障の手術が昔の嚢外摘出術から嚢内摘出術に移行しつつあった頃である。当時の医局長であったF先生は,私たちの指導にとても熱心な先生で,積極的に新しい手術法などを取り入れようとしておられた。そのお陰で私たちは症例にも恵まれ,また多くの手術を経験することができたと感謝している。
昼食を摂る時間もないほどに忙しかった外来や入院患者さんの診療を終え,夕方になると皆三々五々医局に戻ってくるが,それからがまた楽しい時間でもあった。先輩の先生方に今日の患者さんの疑問点につき質問し,その解決方法につき教えていただくのも医局での大きな収穫である。さらに研究のこと,教科書や参考書の選択はもちろんのこと,果てはタウン情報に至るまで学問,雑学,ありとあらゆるジャンルにわたり,医局は最大の情報源であった。時には他愛のないことを言い合って笑ったりしながら,縦にも横にもコミュニケーションが深まっていったように思う。一見無駄な時間のようであるが,これこそ雑談の効用ではないだろうか。
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