現代のカルテ
もっと魚を
野口 肇
pp.45
発行日 1963年8月1日
Published Date 1963/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202595
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新聞などの報道をみていると旧本と各国との漁業協定にかんする記事がたえずでます.さいきんでいえばカナダとのオヒヨウ漁獲交渉,ソ連との貝殻島周辺でのコンブ採取交渉,同様ことしは早く解決したが北洋サケ・マス漁をめぐる日ソ漁業交渉,ついでにいわゆる李ラインを中心とする日韓の漁業交渉などなどです.これとならんで日本の漁船が規制水域内にはいったため向こうの監視艇にダ捕されたというニュースもよくききます.たとえば韓国艇につかまった日本漁船ですが,ここ十年間に約250隻,乗組員2,600人,その多くは未帰還です.
もともとこの漁業交渉というのはやっかいなものです.第一にはそれぞれの国に領海というのがあり,それも各国ごとに範囲がちがい,3カイリ,8カイリ,12カイリとさまざま.とくに第2次大戦のあと兵器が発達したので領海の範囲をひろげる傾向がある.なかでも李承晩ラインのごときは世界に例をみない最長199カイリです.また第二に領海の外の公海は航行や魚類採取の自由という原則はあるが,産卵・稚魚そして回遊と一定の流れがあり,特定の国が乱獲すると翌年はひどい不漁になる.そんなわけで各国が独自にあるいは共同して魚類資源保護を研究し,たがいに資料をだしあって自主規制することになっています.
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