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Axenfeld-Rieger症候群
水流 忠彦
1
1自治医科大学眼科
pp.1650
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906991
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Axenfeld奇形は後部胎生環と同部への索状の周辺虹彩組織の癒着を臨床的特徴とする先天異常で,1920年,Axenfeldにより報告された。後部胎生環は前房側に突出・肥厚し,前方に偏位したSchwalbe線で,角膜周辺部に輪状の白濁として認められる。その後Riegerは1935年に,Axenfeldの報告した臨床像に加えて虹彩萎縮,瞳孔偏位,偽多瞳孔などの虹彩の異常を伴う症例を報告した。Riegerが報告したような症例の中には歯牙の異常,上顎の形成不全・両眼隔離症などの顔面骨の奇形,四肢や脊椎骨の異常を伴う例のあることが報告されるようになり,Rieger症候群と呼ばれてAxenfeld奇形とは区別されてきた。そこで,(1)後部胎生環と虹彩索状前癒着のみのものをAxenfeld奇形,(2)後部胎生環,虹彩前癒着に虹彩萎縮,瞳孔偏位,偽多瞳孔などの虹彩異常の加わったものをRieger奇形,(3)上記の眼症状に歯牙や顔面骨の異常を伴ったものをRieger症候群と呼ばれるようになった。しかしこれらの疾患群は,いずれも神経堤由来の間葉系細胞の発生異常と考えられており,臨床症状も相互に共通する点が少なくないことから,現在では一括してAxenfeld-Rieger症候群と呼ばれるようになっている。
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