Japanese
English
連載 眼の組織・病理アトラス・160
第一次硝子体過形成遺残
Persistent hyperplastic primary vitreous
猪俣 孟
1
Hajime Inomata
1
1九州大学医学部眼科学教室
pp.234-235
発行日 2000年2月15日
Published Date 2000/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906704
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第一次硝子体過形成遺残persistent hyperplasticprimary vitreous (PHPV)は1955年にReeseによって命名された稀な眼先天異常である。その病因は不明であるが,胎生7〜8か月で退縮する硝子体動脈と第一次硝子体が,退縮しないで残存したために起こる。本症は水晶体後面に線維血管組織が形成される前部型anterior PHPVと,視神経乳頭から線維血管組織が索状に硝子体の前部に向かって伸びている後部型posterior PHPVに分けられる。両方の病変が同時に起こっている例も多い(図1)。かって鎌状網膜剥離 falciform retinal detachmentと呼ばれた疾患は,後部第一次硝子体やBergmeis-ter乳頭の過形成による索状増殖組織が網膜や乳頭を牽引したものであり,posterior PHPVに属する。
PHPVの臨床症状は,多くは片眼性の小眼球で,白色瞳孔,白内障,長い毛様突起,眼底では視神経乳頭から伸びる索状の線維性増殖組織などである。水晶体後面のMittendorf dotや後部円錐水晶体posterior lenticonusはanterior PHPVに属し,硝子体動脈遺残persistent hyaloid arteryはposteriorPHPVの範疇に入る。Anterior PHPVは臨床的には白色瞳孔を示した場合には,未熟児網膜症や網膜芽細胞腫との鑑別が必要である。
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