特集 診断と治療の進歩—第53回日本臨床眼科学会シンポジウム
8.網膜硝子体疾患診断の進歩
岸 章治
1
1群馬大学医学部眼科学教室
pp.180-186
発行日 2000年2月15日
Published Date 2000/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906696
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この10年で網膜硝子体疾患学は革命的な進歩を遂げた。12年前,われわれは黄斑円孔の発症機序も治療法も知らなかった。この間,黄斑前硝子体の構造が解明され,黄斑円孔の原因治療ができるようになった。この経験に基づいて糖尿病黄斑浮腫を始めとする網膜硝子体界面病変の治療が実現した。光干渉断層計は眼底病変の組織構造を非侵襲的に観察することを可能にし,病態の理解に大きく貢献した。眼底の循環動態も走査レーザー検眼鏡を用いれば動的に観察できるようになった。インドシアニングリーン赤外蛍光造影は脈絡膜血管の観察を可能にし,これにより血管造影の新しい分野が開拓された。錐体磯能は多局所網膜電図により測定できるようになり,光干渉断層計を併用すれば,組織所見との対応を知ることができる。超音波生体顕微鏡によりさまざまな疾患での毛様体の変化が解明された。今後,分子生物学の臨床応用が期待される。
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