特集 インフォームドコンセント時代の眼科外来診療マニュアル—私はこうしている
眼科外来診療の周辺
中途失明者への指導
簗島 謙次
1
1国立リハビリテーションセンター病院眼科
pp.280-281
発行日 1999年9月30日
Published Date 1999/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906605
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就労の継続をさぐる
中途失明者の社会復帰は晴眼者でさえ今日再就職が困難なように,ほとんど不可能といっても過言ではない。そのために就労中の患者が視覚的に問題が生じ就労継続が困難な場合には,治療と並行して問題解決に当たることが重要である。患者自身で解決できなければ専門家と連絡を取り,休職となり,やがて失業というふうにならないように援助する。注意しなければならないことは,眼の状況だけに眼科医がとらわれ,患者も通院治療に期待を掛けているうちに,会社を休みがちとなり,休職へと追い込まれるケースが多いことである。通院中に医師は患者に常に会社に行っているかどうかを聞き,もしも出社していないようであるならば,その理由についてよく聞く必要がある。
例えば糖尿病網膜症患者は,症状が一定せず視力が変動し,仕事ができたり,できなかったりする。短期的に視力の改善が見込まれる場合には自然経過に任せてもよいが,回復の可能性が期待できない場合にはいつまでも患者を治療通院させるのではなく,社会復帰を最優先に必要な手続きを行い,並行して治療を行うことが重要である。
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