特集 インフォームドコンセント時代の眼科外来診療マニュアル—私はこうしている
集学的治療に必要な他科の知識
臓器移植—いま,腎移植では
平野 哲夫
1
1市立札幌病院腎移植科
pp.245-247
発行日 1999年9月30日
Published Date 1999/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906590
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臓器移植法が1997年10月わが国で施行され,1999年2月初の脳死下臓器移植が多大な注目のうちに行われた。生体血縁者からの提供が可能な肝臓を除けば腎臓移植が大部分を占めているため,腎臓移植の立場からわが国における腎臓移植について,当院における腎移植146例(献腎21例,血縁生体腎125例)の経験を踏まえ簡単に述べたい。
腎臓移植は他の臓器移植に比べいくつかの違いがある。第1に腎臓移植への取り組みは約35年の歴史を持ち,わが国の慢性腎不全による透析患者17万5,000名の存在が示す人工透析療法の進歩と相俟って広く根治的治療法として確立していることである。第2に,ヒトの2つの腎臓の1腎を提供する生体腎提供が可能である(わが国では献腎移植〔死体腎移植〕が少ないこともあり,年間約600例実施されている腎移植の約70%が血縁生体腎提供)。第3に腎臓移植では臓器の灌流・冷却,時間の制約など一定の条件は必須ではあるが,必ずしも脳死下提供だけでなく心停止後の提供も可能である。第4に慢性腎不全の治療として透析療法と腎移植とが車の両輪になっており,腎移植後機能廃絶の際は再透析で救命・社会復帰および再移植への待機が可能である。
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