Japanese
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特集 これからの外科
臓器移植の現状と将来—特に腎移植を中心に
Renal transplantation in Japan
四方 統男
1
,
松井 喜昭
2
,
岡 隆宏
2
Tsuguo SHIKATA
1
,
Yoshiaki MATSUI
2
1京都天神川病院外科
2京都府立医科大学第2外科
pp.141-147
発行日 1971年1月20日
Published Date 1971/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205294
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1970年代,急速に進歩する医学は「臓器移植」であるといわれる.心臓であろうが,腎臓であろうが,取り替えができれば"不治の病気"はなくなる.そして人工心臓,人工腎臓,人工肝臓など人工臓器が完全に代役を果たす"人間改造の時代"へ….だが,現実はまだそこまでいつていない.臓器移植の前には"拒否反応"という厚い壁が立ちふさがつている."最高の治療"といわれる移植ではあるが,文字通り"最高"になるには,この拒否反応など医学上の難問はもちろん人道・倫理上でまだ解決しなければならない問題が多くある.
腎を中心に,心臓,肺,肝臓,血管,神経,角膜,骨髄,骨など臓器のほとんどの移植が試みられすでに骨や血管,角膜,神経などの移植は大きな成果を上げ,ある程度一般化されてきた.しかし,いわゆる臓器移植,腎臓や心臓などの移植は,腎臓を除いてほとんどがテクニック的に成功しても,思うように長期間生存させ得なかつた.昭和42年12月3日南アフリカのバーナード博士が心臓移植を行なつて以来,連続して世界中で実施されたが,今年にはいつて,この心臓移植も世界的にストップしている.肝臓や肺,すい臓なども,一応実施はされたが,いまは中止状態にある.いずれも症例も少なく,生存率も低く,成功といいうるほどのものではない.例えば膵臓移植についてみると,
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