今月の表紙
広範囲に浸潤がみられたBowen病
齋藤 淳
1
,
西田 輝夫
1
1山口大学眼科
pp.1882
発行日 1998年12月15日
Published Date 1998/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906152
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Bowen病は,1912年にBowenにより暗赤色の扁平隆起性病変を呈する腫瘍性皮膚疾患として報告された。上皮全層において偏位・肥大した核を有する異型細胞に置換され,病変は上皮内を拡大することはあっても基底膜を超えて上皮下に浸潤することはない。眼科領域では,中高年に好発し,角結膜輪部にわずかに隆起した灰白色の隆起性病変で,表面にゼラチン様混濁や血管新生を伴う。治療としては外科的切除が行われるが,しばしば再発が認められる。
症例は73歳,男性で,3時から11時までの角膜周辺部および球結膜にかけて隆起性病変を認め,細網状の新生血管を伴っていた。上皮の乱れが認められたが,欠損は認められなかった(表紙)。角膜上皮掻爬術と結膜切除術を施行し,病理学的にBowen病との確定診断が得られた(上図)。術後4か月間,病変の再発は認めていない。
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