特集 術前ワークアップマニュアル—入院から手術当日までの患者管理
Ⅰ.術式別:術前患者管理の実際
6.大腸・肛門手術
小腸広範囲切除術
高田 秀穂
1
,
吉田 良
1
,
中川 州幸
1
,
岩本 慈能
1
,
川西 洋
1
,
岡村 成雄
1
,
吉岡 和彦
1
,
日置 紘士郎
1
1関西医科大学第2外科
pp.111-114
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902458
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
成人における小腸広範囲切除術の対象疾患は,小腸の血行障害,炎症性腸疾患,腫瘍,その他,外傷などがあるが,小腸の広範囲切除は術後に短腸症候群を呈することになるので,できる限り小腸を温存すべきである.待機手術における小腸広範囲切除術の術前患者管理は通常の腸管手術と何ら変わるところはないので,本稿では病態の進行が早く,早期診断とすばやい外科的治療が必要な上腸間膜血管閉塞症について主に述べた.術前検査で本疾患を確定できるのは血管造影検査のみであり,腹部理学的所見や血液検査上に異常がみられるようになるのは病状が進行してからである.術前管理の要点は,喪失体液に対する補正と補給,感染症に対する抗生剤の術前投与ならびに2次塞栓もしくは血栓の予防のための少量ヘパリンを使用し,速やかに緊急手術に踏み切ることにある.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.