今月の表紙
錐体杆体ジストロフィー
宇山 昌延
1
1関西医科大学眼科
pp.129
発行日 1998年2月15日
Published Date 1998/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905711
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症例は11歳の女子。両眼の徐々に進行する視力低下を訴えて来院。視力は両眼とも0.3(n.c.)。眼底は,表紙写真のように視神経乳頭は軽度褪色し,網膜動脈はきわめて細く,静脈も細い。後極部網膜はび漫性の網膜色素上皮の萎縮をみた。黄斑部は軽いbull's eye標的黄斑を示した。周辺部の網膜は正常。色素沈着なし。視野は大きい中心暗点を証明,周辺視野は正常。ERGは完全に消失し,どの条件でも記録できなかった。EOGは中等度低下。しかしlight raiseはあった。暗順応は閾値の軽度上昇をみた。色覚は第3色覚異常を示した。家族歴なし。
その後,視力障害は徐々に進行し,9年後の現在,両眼とも視力は0.02(n.c.),視野は中心暗点が著しく拡大し,周辺視野を一部に残すのみ。眼底は視神経萎縮,網膜動脈の狭細が一層進み,後極部網膜の色素上皮萎縮は広範囲に拡大していた。
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