症例報告
全エクソームシークエンシングで原因が確定できなかった眼底が正常な錐体杆体ジストロフィの1例
二見 拓磨
1
,
永田 竜朗
1
,
近藤 寛之
1
1産業医科大学眼科学教室
キーワード:
杆体錐体ジストロフィ
,
PROM1
Keyword:
杆体錐体ジストロフィ
,
PROM1
pp.915-919
発行日 2024年9月5日
Published Date 2024/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003773
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PROM1遺伝子は黄斑萎縮や常染色体顕性錐体ジストロフィなど,さまざまなタイプの網膜ジストロフィと関連することが知られている。我々は眼底が正常で網膜電図(ERG)異常によって錐体ジストロフィと診断し,PROM1遺伝子のバリアントを検出した症例を経験したので報告する。症例は3歳女児。視力の発達が悪いために当院を紹介受診した。初診時視力はそれぞれ右眼0.2(0.3×S-1.50D C-1.25D Ax160°),左眼0.1(0.3×S-3.00D C-1.75D Ax10°)であった。眼底は正常で,眼底自発蛍光や光干渉断層計でも異常所見を認めなかった。5歳時にERGを測定したところ,杆体反応は正常な波形であったが,錐体反応は著しく減弱していた。4年後,再度ERGを記録したところ,同様の異常所見を認め,両眼の錐体ジストロフィと診断した。全エクソームシークエンシングを行ったところ,PROM1遺伝子に既知のミスセンスバリアント(variant of unknown significance)を認めたが,家系検査によって原因である可能性は否定的であった。
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