特集 白内障手術 Controversy '93
白内障をめぐる22のControversy
緑内障との同時手術—現時点の問題点について
根木 昭
1
1天理よろづ相談所病院眼科
pp.145-147
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901927
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緑内障と白内障の同時手術については,適応と術式について従来よりcontroversyが多く,いまだ意見の一致をみていない。その原因は単独手術と比較して,緑内障手術としては術後の一過性眼圧上昇や濾過胞形成率の点で劣ること,白内障手術としては術式が複雑で,術中・術後の併発症が多く,乱視調整も困難であったことによる。しかし,緑内障は必ず再手術を念頭に置かねばならないこと,比較的結果の安定している線維柱帯切開術(以下ロトミー)や線維柱帯切除術(以下レクトミー)といった術式は3回程度しか施行できないことを考えると,健常な強結膜をより広く温存できるという点で同時手術は絶対的な優位性をもっている。
特に近年,白内障手術として5mm内外の強角膜切開創からの眼内レンズ(以下IOL)挿入術が定着し,またレクトミーにマイトマイシンC (以下MMC)などの線維芽細胞増殖抑制法が導入されたことにより,従来の計画的嚢外摘出術(以下ECCE)との同時手術に比較して侵襲も少なく,濾過効果も安定性を増すようになった。もちろん,その長期的結果については今後の検討を待たねばならないが,同時手術に新しい局面が開けつつあり,現時点における問題点について私見を述べてみたい。
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