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小瞳孔眼に対する白内障手術の術式の変遷
小瞳孔眼に対する白内障手術の術式は年々進歩してきている。従来は嚢外摘出術が難しかったため,水晶体全摘出術が採用されていたが,後房レンズの普及とともに計画的嚢外摘出術が試みられる1,2ようになってきた。虹彩全幅切開を加えて計画的嚢外摘出術を施行することにより,小瞳孔眼に対しても眼内レンズの挿入が可能となり,この術式により以前に比較して飛躍的に良い結果3)が得られるようになった。しかし,切開が大きいため,超音波白内障手術(Phaco手術)の結果と比較すると,術後乱視や術後炎症などの点において劣っており,小瞳孔眼に対する安全なPhaco手術の術式の確立が期待されていた。今までにも熟練したhigh volume surgeonによる小瞳孔眼へのPhaco手術の報告があるが4),小瞳孔眼に対して従来の方法でPhaco手術を行うと,核の乳化吸引や皮質の吸引の際に虹彩で隠れた見えない部位での操作が多いため,後嚢破損や硝子体脱出などの重篤な術中合併症を起こす可能性が高くなり,一般のoccasional surgeonには危険性が高いと思われていた。
最近になって,二手法によるdivide and con—quer法5)の普及と瞳孔拡大器6)の出現により,小瞳孔眼に対しても積極的にPhaco手術を採用しようとする考え7,8)がでてきた。これは,小切開による自己閉鎖創手術の利点を小瞳孔眼においても取り入れようとする試みであり,術者の技量と症例の選択を誤らなければ,小瞳孔眼に対しても安全な自己閉鎖創による小切開Phaco手術をfirstchoiceとして行うことができるようになり,良い結果が得られるようになった。
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