Siesta
白内障術式・手技の選択
山岸 和矢
pp.85
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901887
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現在,白内障術式・手技には,大きくはECCEかPEAに始まり,小さい部分でも多数の選択があり,そこに多くの論点が存在する。術者はより早く質の高い視力回復のため臨床的にまた科学的に優位な術式・手技を採用し,眼科手術の進歩による利益を患者に亨受させるべく進んでいる。しかし,他医での旧式な手術(失礼!)でも視力が出ていれば患者が満足しているのを見る時,患者にとって重要なことは最新の術式ではなく,良い視力を確実に安全に回復することであることを再確認する。無縫合のPEAによる核の硬い症例での合併症の発生率がECCEより高いのなら,硬い症例ではその術者はECCEを採用すべきである。一般の術者にとって術式・手技の変更は結果を見ながらstep by stepで,特に初期にはcase by caseであるべきであろう。それは,患者にとっては白内障手術はプロセスより結果がすべてで,また術者にとっては100例に1例の視力不良例であっても,その患者にとっては代わるべき眼はないのだから。
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