Japanese
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連載 眼科図譜・312
片眼に網膜下増殖膜組織を伴ったchoroideremiaの1例
A case of choroideremia associate with subretinal proliferation
野呂 洋子
1
,
山口 克宏
1
,
玉井 信
1
Yoko Noro
1
,
Katsuhiro Yamaguchi
1
,
Makoto Tamai
1
1東北大学医学部眼科学教室
pp.962-963
発行日 1992年7月15日
Published Date 1992/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901219
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緒言:Choroideremiaはびまん性,進行性に網脈絡膜萎縮をきたすX染色体劣性遺伝の疾患である。男性罹患者は普通5〜10歳に夜盲で発症し,進行性の視野障害がみられる。黄斑部の機能はかなり末期になるまで保たれるが40歳を過ぎると視力障害は高度になる1,2)。その女性保因者は,赤道部を中心に顆粒状の脱色素斑と色素沈着が散在する特徴的な眼底所見を呈し,視機能は正常あるいは軽度異常を示すと報告されている3)。今回筆者らは片眼に網膜下増殖組織を有し,特異な眼底像を呈したchoroideremiaの症例を経験したので報告する。
症例:14歳,男性。9歳頃より夜盲があった。1987年5月に自転車で転倒し右眼を強打した既往がある。同年秋頃より右眼視力低下を自覚し,1988年3月当科を受診した。初診時,右眼視力0.02(0.08×-0.25D cyl-0.75DA130°),左0.6(0.8×-1.50D cyl-0.50DA180°)。前眼部,中間透光体には異常を認めなかった。ゴールドマン視野検査で両眼の求心性視野狭窄と右眼の輪状暗点が認められた。ERGは両眼とも消失型,EOGはAD比が左右とも1.0と平坦型を示した。暗順応検査は一相性で,最終光覚閾の上昇がみられた。全身的には梅毒定性試験,血清アミノ酸分析も含めて異常は認められなかった。
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