文庫の窓から
フックス氏眼科全書
中泉 行信
,
中泉 行史
,
斉藤 仁男
1
1研医会
pp.102-103
発行日 1990年1月15日
Published Date 1990/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410900020
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本書はオーストリア国・ウィーン大学眼科教授,エルンスト・フックス博士(Dr.Ernst Fuchs,1851〜1930)が著した眼科学講本(Lehrbuch der Augenheil—kunde)の第3版(1893)を井上達七郎(遠州坪井の人,本姓中山栄太郎,井上達也,甘泉に師事,その養子となり,達七郎と改む,1869〜1902)氏,諸角芳三郎(山梨の人,井上達也門人,千葉医学校卒,1865〜1930)氏が共訳したもので,明治27年(1894)より翌28年(1895)にかけて朝香書店から発行された。
フックス氏は1851年6月14日にウィーンに生れ,同地のウィーン大学を卒業し,眼科をアルト(Arlt)の下に助手として修業し,後に母校のウィーン大学眼科教授となった。彼の名は早くより眼科医界に轟き,(わが国へも大正11年(1922)9月に単独訪問している)氏の原著(Lehrbuch der Augenheilkunde)は1889年が初版である。その所説は斬新で精確にして,図画は原著者が最も重視し,ことに顕微鏡標本の類は悉く実験によって得られたもので,助手のドクトル・ザルツマン(Maximilian Salzmann,)氏と彫刻家マトロニー氏との協力によって成っているといわれ欧州各国の医学者等において厚く歓迎され,原著は英,佛,露,伊等各国語に訳された。
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