文庫の窓から
眼科必携(須淮氏眼科必携)
中泉 行信
1
,
中泉 行史
1
,
斎藤 仁男
1
1研医会
pp.1088-1089
発行日 1988年9月15日
Published Date 1988/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210516
- 有料閲覧
- 文献概要
明治4年(1871)8月に,明治新政府の招きでドイツの陸軍軍医正,レオポルド・ミュルレル(Leopod Müller)と海軍軍医,セオドール・ホフマン(Theodor Hoffmann)が来日し,東校(東京大学医学部の前身)の教師に就任したが,当時東校卒業生の中には軍医に進む者,また,文部省派遣の医科欧州留学生の中にも陸海軍の軍医が幾人かいて,後に著述や翻訳等において活躍した.こうした頃に,日常学生を教授し,また医家の提携に便利なように著述出版された眼科書が本書である.
本書はドイツ国伯霊府大学校眼科教頭,兼学長,須淮歇児(Karl Schweigger)原著を坂井直常(不詳〜1890)が訳補したものである.全編を3部に大別し第1部に光線,屈折,節視力の変常,眼鏡,検眼鏡,測眼器の躰用,眼筋の病を論じ,第2部に眼窩,涙器眼瞼,結膜,角膜,剛膜,虹彩,水晶躰及び硝子躰の病を説き,そして第3部において眼底の常態,脈絡膜病,視神経病及びグラウコーマ,アムブリオピーを記述したものであるが,訳出されたものは第2部および第3部であって,その理由を『予が第2部を取って上梓を急にするは其諸病の療法家の日常に急務たるを以てなり,第1部は即ち眼科の楷梯なる故』と坂井直常は述べている.ここに掲出の版は第2部および第3部全11巻11冊(18.5×12.5cm),四周双辺,無界,毎半葉10行,毎行20字詰,片版名交,図式29図,刊本,和綴,明治9年(1876)6月より同12年(1879)4月に至る問に版権免許を得て,東京馬喰町島村利助より発見されたものである。本酵の巻数と発1:—1の年次は以下の通りである。
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.