文庫の窓から
歇氏眼科学
中泉 行信
,
中泉 行史
,
斎藤 仁男
1
1研医会
pp.276-277
発行日 1989年2月15日
Published Date 1989/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210648
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『歇氏眼科学』はヘーシング氏(F. Hersing)著の『Compendium der Augenheil Kunde』を甲野棐氏が訳したもので,"歇氏"はヘーシング氏の漢字当て字の頭文字をとって書名としたものと思われる。ヘーシング氏のこの眼科書は明治10年前後に東京大学医学部で行われたシュルツェ氏(Wilhelm Schultze)の講義の台本であったといわれている。
本書の訳者,甲野棐氏は安政2年(1855)4月5日の生れで,明治6年(1873),第一大学区医学校へ入り,同14年(1881)に東京大学全科を卒え,同16年(1883)8月,東京大学助教授となり,眼科主任教授スクリバ氏(Julius Scriba,1849〜1905),眼科教授梅錦之丞氏(1858〜1886)等を補助した。本書の出版は明治19年(1886)であるが,その訳出は甲野棐氏が助教授になった明治16年から同18年にかけてのことと推測される。
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