Book Review
《眼科臨床エキスパート》所見から考えるぶどう膜炎 第2版
安藤 伸朗
1
1長岡眼科医院
pp.236
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410214717
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ぶどう膜炎というと45年前の鮮烈な記憶がよみがえる。
医学部を卒業して新入医局員として大学の眼科に入局し,最初に受け持った患者さんがベーチェット病から生じた続発性緑内障の患者さんだった。入院前から治療方針は疼痛除去のための片眼の抜眼と決まっていた。入院時に一生懸命患者さんとお話しして,現病歴,家族歴,身体所見,眼所見を取り,カルテを作成した。時間は要したが,患者さんも快く応じてくれた。手術日は入院2日後と決まっていたが,手術前日,すなわち入院翌日に患者さんが行方不明となった。あちこち探しまわったが,見つからない。警察に捜索依頼を出そうかと話し合っているうちに,家人から静岡県で見つかったと連絡があった。後でご本人に聞いてみると,まだ目があるうちに友人と会っておきたいとのことだった。経験の少ない私は,問診をすること,所見を取ることに必死で,眼球摘出を控えた患者さんへの配慮が足りなかったことを思い知らされた。ぶどう膜炎にはこんな苦い経験がある。
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