Japanese
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連載 眼科図譜
大量の中心窩硬性白斑が消失し良好な視力が得られた糖尿病網膜症の1例
A case of diabetic retinopathy resulting in excellent visual outcome after resolution of massive macular hard exudates
高橋 京一
1
Kyoichi Takahashi
1
1たかはし眼科クリニック
1Takahashi Eye Clinic
pp.1064-1068
発行日 2022年8月15日
Published Date 2022/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410214467
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緒言
糖尿病網膜症で黄斑浮腫が発症すると視力低下をきたすが,黄斑浮腫に続発して中心窩・中心窩下に硬性白斑が沈着すると視力低下は顕著となる。グリッド光凝固や硝子体手術,トリアムシノロンアセトニド硝子体内投与などによる治療が試みられてきたが,大量の硬性白斑沈着例では黄斑部に瘢痕形成が起こり視力予後は不良とされている。わが国では中心窩下硬性白斑除去術といった外科的治療も報告されたが,良好な視力転帰を得ることは困難であった1)。近年,RISE/RIDE,VIVID/VISTAなどの大規模臨床研究の結果から,抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)療法の黄斑浮腫治療に対する有効性が確立し,さらに,抗VEGF療法を2年間行うと60%以上の症例で硬性白斑が減少することも報告されている2)。
今回筆者は,非増殖糖尿病網膜症で中心窩に大量の硬性白斑が沈着したが,3回の抗VEGF療法により瘢痕を形成することなく硬性白斑吸収に成功し,その後の黄斑浮腫の再発に対しては硝子体手術と毛細血管瘤への光凝固治療を行った結果,黄斑機能が回復し,良好な視力転帰が得られた症例を経験したので報告する。
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