今月の表紙
感覚網膜割断面の走査電子顕微鏡写真
杉田 新
1
,
寺崎 浩子
2
1おおつか杉田眼科
2名古屋大学
pp.662
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213574
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- 文献概要
ニホンザルの感覚網膜を割断して走査電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)でみたもので,感覚網膜に特徴的な層構造がよくわかる。本図は,左側が硝子体側,右側が脈絡膜側であるが,左側から右側に向かって,内網状層の一部,内顆粒層,外網状層,外顆粒層,外境界膜,杆体・錐体層の一部,が区別できる〔なお,本稿の写真は「眼の神秘SEMアトラス」(筆者の自費出版)からの転載である〕。
SEMの最大の特徴は,焦点深度が深く立体的な画像が得られることで,感覚網膜の割断面をSEMでみると,各層相互の3次元的位置関係がよくわかる。SEMは透過電子顕微鏡に比べると観察範囲が広いこと,光学顕微鏡に比べると分解能が高く,微細構造レベルの観察ができること,などの利点がある。SEMの観察対象としては,従来は細胞・組織の自由表面に限られていたが,試料作製を工夫することで細胞・組織の内部構造を観察することもできる。本図は樹脂凍結割断法を応用して,ニホンザルの感覚網膜割断面をSEMでみたものである。今回の写真撮影に使用した検査機器はフィールドエミッションSEM,日立HFS-2(分解能は3nm)で,写真倍率は1,600倍である。
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