形態学的検査と技術 血液と病理
わだい
走査電子顕微鏡のはなし
丹下 剛
1
1東大病理学
pp.527
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203691
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走査電顕をふだん使用している経験者の一人として思うことは,走査電顕にもいろいろ難しい理論があり,その一つ一つの操作に習熟するには相当の時間と努力を必要とするが,実際にはある程度システムの整ったラボラトリーや検査室では検体の採取に始まり写真を手にするまでの操作は,比較的簡単に行うことができることであります,したがって,もしも走査電顕を手がけたい人は,一度そのような検査室に足を運んで,その感触を自分の目で確かめるとよいでしょう.おそらく,透過電顕のエポン包埋と超薄切の過程がない分だけ操作が楽です.
これまで,走査電顕は生体の各部の微細構造の追求に使われており,感覚器,神経,筋肉の立体構造にはじまり,粘膜表面や血球形態など観察対象は極めて広い.一度アトラスを見ると,そのパノラマ的立体感からアイザック・アシモフのミクロの決死隊に展開されたあのイメージを想起することでしょう.
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