Book Review
緑内障道場—診断・治療の一手ご指南
杉山 和久
1
1金沢大・眼科学
pp.1555
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213419
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本書を読んでまず感じたことは,「緑内障道場」はまさに「症例から学ぶ緑内障」の書であることです。本書は,日常の緑内障診療で遭遇するさまざまな症例を体系的に提示して,その解決方法を指南役のエキスパートの先生の経験やエビデンスに基づいて解説する方式で,各症例の最後に師範(木内良明教授)からの一言(コメント)でまとめられています。これは,私の緑内障の研究方法である「症例から学び研究する緑内障学」に通ずるものを感じます。
緑内障外来は緑内障を勉強する教室(道場)であり,緑内障症例である患者さんこそが,緑内障を教えてくれる先生という思想を,私は本書から感じ取りました。患者さんの病態をどう解釈し,治療方針を立てるかについて,指南役のエキスパートの先生方(主に関西緑内障道場,中四国緑内障アカデミーのインストラクターの先生)が解説しますが,これがなかなかユニークで読んでいて面白いです。師範の一言も「緑内障の俳句」があり,ほっと一息つきます。さらに,この書に提示された症例の中には多くの研究のseeds(種)があります。症例から発生した疑問点を解決するための研究のヒントが満載です。
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