Book Review
有水晶体眼内レンズ手術 動画付
ビッセン宮島 弘子
1
1東京歯科大水道橋病院・眼科
pp.484
発行日 2023年4月15日
Published Date 2023/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410214766
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有水晶体眼内レンズは,眼科医のみでなく一般の方にも認知されるようになり,近年,その手術件数は増え続けている。本書は『有水晶体眼内レンズ手術』と題されているが,実際には,数あるレンズのなかで最も普及し,国内承認を得ているImplantable collamer lens:ICL(アイ・シー・エル)挿入に関する内容である。
さて,このICLは,編集の労をとられた清水公也先生の地道な臨床例の積み重ねに加え,一般眼科医が思いつかない独自のアイディアによって,今日の普及に至ったと思う。白内障手術時の無水晶体眼に用いる眼内レンズは,前房型,虹彩把持型,後房型と複数のデザインが登場し,最終的に残ったのが後房型である。有水晶体眼に挿入する眼内レンズも同様のデザインで開発されたが,水晶体を温存した有水晶体の状態で挿入するため,水晶体への影響,すなわち白内障の併発が懸念された。その水晶体に最も近い位置に挿入する後房型のICLであるが,清水先生が巻頭言で述べられているように,レンズの中央に貫通孔を設けるという奇想天外なアイディアで,術後の房水循環不全による白内障の軽減を実現させた。そして,もう1名の編集者である神谷和孝先生らとともに,基礎実験に加え,臨床例を国内外の学会で報告かつ論文化し,ICLの安全性と有効性を世界中の眼科医に納得させるまでに至った。
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