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三村治先生の『神経眼科学を学ぶ人のために 第2版』が出版された。神経眼科分野でも,従来の画像検査の改良とともにOCTやOCTアンギオにより,より詳細な病態が捉えられて診断に役立つようになった。また治療法も増え,ガイドラインも確立されてきた。そのような背景を基に,初版をさらに充実させた本書は,新たな疾患概念や“CloseUp”という魅力的な著者のつぶやきがちりばめられている。“CloseUp”を読んでいるだけでとても楽しく,著者の広い知識があふれ出ている。
そんな本書のタイトルは『神経眼科学を学ぶ人のために』であるが,眼科医ならもちろん,小生のような緑内障専門家には特に読んでほしい。乳頭所見,視野障害は神経眼科学の分野であり,神経眼科学の知識なくして緑内障専門家を標榜してはならない。緑内障は眼圧については独自の分野かもしれないが,結局は神経障害である以上,神経眼科学の一部である。正常眼圧緑内障は神経眼科的疾患の知識なくしては診断できない。そして緑内障分野でも最近話題になっている乳頭篩状板を挟んだ脳脊髄圧と眼圧の圧勾配についてはまさに神経眼科領域の話題でもある。眼球裏面まで存在するくも膜下腔を介した脳脊髄圧と眼内からの眼圧,乳頭血流灌流圧,ひいては近視性眼軸延長に伴う眼球変形ストレスのバランスは視神経乳頭症というべきで,バランスが崩れれば,うっ血乳頭,乳頭腫脹,乳頭陥凹,乳頭構造障害ひいては乳頭蒼白となり種々の疾患に至る。本書でも多くの画像とともに乳頭視神経疾患を詳細に記載してあり読み応えがある。また,間違いやすい網膜疾患から乳頭,視交叉以降の視路疾患,さらに眼球運動障害,眼瞼,瞳孔,眼窩,全身疾患の順に非常に簡潔明瞭な記述で解説され,神経眼科学の魅力を余すことなく伝えている。
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