Book Review
神経眼科学を学ぶ人のために 第2版
後藤 浩
1
1東京医科大・眼科学
pp.225
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212589
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わが国の神経眼科学の第一人者である三村 治 教授の単独執筆による『神経眼科学を学ぶ人のために 第2版』を拝読させていただきました。実は神経眼科関連の本は脅迫観念もあってか,新刊が出版されるたびに中身を吟味することもなく購入する癖があります。これは取りも直さず,神経眼科学が苦手ゆえのせめてもの償い,あるいは抵抗の現れでしょう。本書は,そういった神経眼科を学ぶ気持ちは持ち合わせている,少なくとも学ばないといけないと思っている眼科医や視能訓練士にはうってつけの書籍です。
まず,第1章の「解剖と生理」は必読のパーツです。ここを読破しただけでも神経眼科学のスタートラインに立てた気分になれます。しかも一般に敬遠されがちなこの解剖と生理に関する解説は,たった18ページに凝縮してくれています! でもやはり,この18ページを理解するのが辛いのも事実です。各論では美しい写真やわかりやすい図がふんだんに使用され,さらに解説は箇条書きを基本としているので,神経眼科学を苦手にしている者には大変ありがたい,読みやすい構成となっています。さらには三村先生が「ココだけは押さえておいてほしい!」と思われたところは文字が強調体になっているので,試験でいうところの“ヤマ”を親切に教えていただいているようなものです。随所に散りばめられた“Close Up”コーナーでは,神経眼科学に関するトレンドのみならず,目から鱗の落ちるようなコメントや情報が満載です。例えば,視神経の走行の特徴とされるWilbrand knee(Wilbrandの膝)なるものは,もしかしたら存在しないかもしれない,などの情報は大変興味深く読ませていただきました。
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