特集 ドライアイを極める!
企画にあたって
稲谷 大
1
1福井大学医学部眼科学教室
pp.1345
発行日 2020年11月15日
Published Date 2020/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213816
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ドライアイは,日常診療で多くの患者を診療する機会のある疾患であるが,私のように,ただ漠然と患者の主訴を中心に点眼治療を続けている眼科医が多いのではないだろうか? しかし,2019年5月に,眼科では初めてのMinds形式に沿ったよりエビデンスに基づいたドライアイ診療ガイドラインが作成されており,今後は確かな知識と根拠をもってドライアイ患者の診療にあたっていく必要がある。ドライアイ診療ガイドラインは,日本眼科学会のサイトからも無料でダウンロードできるので,ぜひご一読いただきたい。しかし実際のところ,本ガイドラインはかなりの分量があり,今回の特集の総論「ドライアイ診療ガイドラインを読み解く」を事前に読んでいただければ,その理解を助けることできると思う。
ドライアイの病態を深く理解するために,眼表面の涙液層と角結膜表層上皮の層別診断/層別治療(TFOD/TFOT)を今一度復習して押さえていただきたい。ドライアイは単なる眼不快感だけでなく,視機能低下をきたすことが定量的な検査で裏づけられており,ドライアイの治療が白内障手術後の視機能を左右してしまうことも指摘されている。ドライアイが点眼治療で改善しているにもかかわらず,患者の症状が持続する現象を経験することがある。最近では,この矛盾した現象が神経因性疼痛(アイペイン)として,その病態が明らかになってきている。また,涙液中のガレクチン3濃度とドライアイの重症度に相関関係があるといった新たな分子メカニズムが解明されたことなど,ドライアイの病態の最新知見も特集に盛り込んだ。
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