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疾患の概要
網膜血管腫状増殖(retinal angiomatous proliferation:RAP)は,2001年Yannuzziら1)によって報告された疾患概念である。通常の滲出型加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)では脈絡膜血管由来の新生血管(choroidal neovascularization:CNV)が網膜色素上皮下(type 1)や感覚網膜下(type 2)に進展して出血や滲出を生じるのに対して,RAPは網膜血管由来の新生血管(RAP lesion)を有し,網膜内に異常血管増殖をきたし,網膜血管と吻合(retinal-retinal anastomosis:RRA)し,そして網膜下へ進展して,やがて脈絡膜新生血管と吻合(retinal-choroidal anastomosis:RCA)を形成するといった特徴がある。RAPは滲出型AMDの特殊病型に分類され,Gassのtype 1,type 2 CNVに対して,RAPをtype 3 CNVと提唱する報告もある2)。
わが国におけるRAPの頻度は広義AMDの4.5〜7.5%3,4)と高くないが,その自然経過は他のAMDに比べ予後は悪く,進行も早いうえに治療に抵抗性を示しやすい5)。血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)を抑える抗VEGF薬の硝子体内注射は,現在AMDに対する主要な治療として多くの国で施行されている。RAPに対する治療は,滲出型AMDに対する治療ガイドラインによると,抗VEGF薬併用の光線力学的療法(photodynamic therapy:PDT)あるいは,視力良好例に対しては抗VEGF薬単独治療が推奨されている6)。
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