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連載 目指せ!眼の形成外科エキスパート・第29回
涙囊鼻腔吻合術鼻内法—ようこそ内視鏡下手術の世界へ!
Endonasal dacryocystorhinostomy
佐々木 次壽
1
Tsugihisa Sasaki
1
1佐々木眼科
pp.84-89
発行日 2017年1月15日
Published Date 2017/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212134
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はじめに
本格的な涙道診療を志向するならば,涙囊鼻腔吻合術(dacryocystorhinostomy:DCR)1,2)は必須である。DCRは高い成功率,腫瘍を除くほぼすべての鼻涙管閉塞に対応可能な広い適応および涙小管水平部閉塞に対する結膜囊涙囊鼻腔吻合術(ジョーンズチューブ留置)3)などのベースとなる応用範囲の広い手術ゆえである。
DCRには鼻外法と鼻内法(以下,en-DCR)がある。その選択法は次号で詳述するが,成人涙道疾患の男女比は1:3で女性優位であり,低侵襲かつ整容性のよいen-DCRが有利になる。しかしながら,鼻内視鏡下手術であるen-DCRは始める際の敷居がやや高い。その理由は初心者でも鼻内操作器具などの使い慣れない器材を用いて,内視鏡下手術特有のモニター画面を見ながら器具を操作するhand-eye coordinationが必要という2重のハンディがあることによる。パプリカなどを用いてhand-eye coordinationを修得してから(図1),耳鼻科医に指導を仰ぎ,健康な高齢女性かつ広鼻腔などの低リスク症例から始めるのが合併症を減らすポイントである。習得前なら耳鼻科医が鼻内操作,眼科医が涙道内視鏡でのガイド役とチューブを留置する協同手術とするのも一法である。
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